例年通り今年小生が観戦したライブのベスト10をまとめます。前年同様、同一ミュージシャンは1回に限って取り上げます。(写真は全て小生撮影)
仕事が忙しくて、今年は昨年に比べて観戦本数が減少。正確に数えていませんが、週一ペースはキープできず、年間40本程度でないかと思います。同様の理由から、安室奈美恵、カルメン・マキ、OKIなど、重要なライブレポも書きそびれました。
今年の社会的インパクトは、なんと言っても、震災と原発事故でしょう。皆が一層の繁栄を願いながら漠然と続くと思い込んでいた生活と歴史と文明(=科学技術)が一瞬にして崩れ去りました。
同次元で論じてはいけないでしょうが、(たかが)ライブ観戦にもそれが色濃く反映される結果となりました。
音楽ライブではありませんが、沖縄関係のお芝居、「テンペスト」 「推進派」(by燐光社)「仲田幸子横浜公演」も大変印象深かったです。このうち、基地移転問題を扱った「推進派」についてレポートを書けなかったのは残念です。
また来年早々にまとめたいと思っていますが、糸満市真栄平にある「南北の塔」について、一年間調査をしてきました。その関係で、わざわざ年休を取って北海道立図書館にこもったりするなど、アイヌの歴史と向きあうことになりました。明治時代まで正式には日本に帰属していなかった琉球とアイヌについての課題は、来年に引き継がれそうです。
【1位】
チコ本田
4月6日 東京・西荻・アケタの店
ライブレポ「浄土への鎮魂歌」
息子本田珠也を含む最高のジャズトリオをバックに、齢70数歳のチコさんのパワフルなボーカルが炸裂。50年のキャリアの音楽スピリットは、そう簡単に若手に真似できるものではありません。夫・故本田竹広氏が被災地三陸宮古の出身で、チコさんのHPのコメントをもとに小生も渾身のライブレポを書かせていただきました。
【2位】
シーサーズ
3月25日 東京・吉祥寺・マンダラ2
ライブレポ「平和に生きる権利」他
震災直後、計画停電がある中での反原発節電ライブ。ディープな沖縄民謡にも造詣の深いシーサーズですが、60年代反戦ロックのような社会批判と70年代プログレッシブロックのようなコンセプト構築も鋭いです。
【3位】
与那覇歩
7月30日 京都・木屋町三条・大新
ライブレポ「エイサーと鬼の肖像画」他多数
追っかけをしてて、今年も10回以上見た歩さん。昨年1位から後退しましたが、今年は上二人の先輩が強力過ぎました。しかし、うまさと破壊力を兼ね備えた歌唱力は健在。このライブは、オープニングから数曲の民謡メドレーが印象的でした。
那覇・金城での早田恵美さん、謝花綾乃さんとのトリオも、ますますパワーアップして痛快です。
【4位】
Ridea(Aki&buzzlight)
12月22日 沖縄・美浜・Salt&Pepper
ライブレポ=未着手(近々アップ)
Aki&buzzlightとしては多数
1年半前に東京で偶然見たRidea。その後数回のライブ観戦は金武町でのAki&buzzlightとしてでした。今回はRideaとして再デビューのライブ。GLAYのサポートキーボードプレーヤー永井誠一郎氏を中心とした完璧でぶ厚い音に、来年のメジャーブレイクを予感させました。
【5位】
竹島信一
5月4日 奄美大島・名瀬・かずみの店
ライブレポ「永良部百合の花」
「朝花」(at 与那覇歩関連)
初めて生で聴いた奄美の島唄。それだけで奄美の歴史の一端を体感できるような気がしました。かんつめ節を始めとして、鬼気迫る迫力。まさにジャパニーズブルース。来年は数日間滞在して奄美の唄をじっくり聴きたいです。
【6位】
安室奈美恵
10月19日 東京・代々木第一体育館
ライブレポ=なし
7年ぶり4回目の安室ちゃん。日本のエンターテイメント界の最高の頭脳と技術を結集して創られるライブは圧巻の一言。ノーMC。一度ボタンをクリックしたらアンコールの間合いまでプログラムされたデジタル&商業主義シンクロミュージック。安室ちゃんもマシーン化。時々反乱を起こす人間安室。そういうところもたまらない魅力です。
【7位】
萱森直子
7月10日 新潟・出雲崎・妻入り会館
ライブレポ「西鶴の不覚」
室町時代から伝わる瞽女唄も今や数名の伝承者を残すのみです。盲目の瞽女さんが歌うのは、まさに人生の漆黒の闇。幼い恋の果てに火あぶりの刑に処された「八百屋お七」の断末魔の悲鳴が聴こえてくる様な萱森さんの熱唱でした。
【8位】
カルメン・マキ&鬼怒無月
6月11日 東京・西荻・JIROKICHI
ライブレポ=なし
小生の世代は、寺山修二の天井桟敷のイメージよりも、春日博文とのOZのイメージが鮮烈な個性派カルメン・マキ。今回のサポートは、現在小生が最も好きなギタリスト鬼怒無月でした。マキさんはそれほど器用なシンガーではないですが、鬼怒氏の引き出しの多さには脱帽。韓国に渡ったかつてのパートナー春日氏のライブを現地で見て、併せてライブレポを書こうと画策するも頓挫。
【9位】
Scandal
11月4日 札幌・教育文化会館
ライブレポ「スキャンダルな夜」(at 7!!関連)
アイドルバンドだからってなめちゃいけないです。(彼女らの太ももは舐めたいですが!)演奏力、ダブルボーカル、コーラスワークもしっかりしていて、耳の肥えたオジさんも十分聴けました。弾ける若さが眩しくて、寒い札幌が熱かった!
【10位】
OKI
3月5日 東京・世田谷・宮本三郎美術記念館
ライブレポ=なし
アイヌの楽器トンコリ奏者のOKIのソロライブ。5音しか出ないトンコリ1本でどうなることやらと思っていましたが、ミニマルな音を聴いていると北の大地の光景とアイヌの歴史が頭に浮かび、イマジネーションが果てしなく広がって行きました。伝統音楽は民族の歴史、誇り、喜怒哀楽を背負っています。
【番外】
数年にわたり追っかけをしていた浪曲師の浪花亭友歌さんの姿が、春以降ぷっつりと見られなくなりました。浪曲協会の名簿には名前が載っているので、結婚か出産のため活動を一時的に休止したと推察します。
3月26日に四谷の区民会館での公演に行くと、「震災のため急遽中止になりました。」と入り口で説明してくれたのが最後になりました。(写真中央)彼女がどんな男と結婚したのか気になって仕方がないです。
【別格位】
今西太一/片平里菜/他
11月1日/12月6日 福島市
ライブレポ「福島原発ブルース」
「福島原発エレジー」
震災と原発事故のクロスロード、福島に何回か通いました。福島には間違いなく不安と怒りが満ち溢れています。
日本中のミュージシャンが発する「歌で元気を!」というコメントは、所詮人ごとの綺麗ごと。福島に乗り込んで、今西氏や里菜ちゃんのような魂の叫びを聴かせてほしいものです。
それが権力に縛られず生きてきた芸能(はふり)の民の使命だと思います。