2017年ライブ観戦ベスト10

猫太郎

2018年01月14日 21:40

 年を越してしまったが、自身の備忘録として、2017年ライブ観戦ベスト10を記しておきたい。

 昨年1年間もあっという間に過ぎ去ってしまった。世界ではクソトランプが、北朝鮮や中国やアラブ社会やロシアを挑発し、世界に緊張と戦争を生み出している。

 それは、ある意味当然のことだ。確信犯なのだ。建国以来アメリカでは軍事産業が政権を支えている。平時には国家予算の2割程度が軍事費であろうが、例えば、南北戦争やベトナム戦争時にはそれが8割に跳ね上がる。数社の巨大軍事産業にとっては濡れ手に粟のビジネス。
 そして、その巨大な軍事力をバックに、世界に緊張を作り出し、世界中に兵器の営業を行う。アメリカ国内で一機50億円のオスプレイは、日本に売りつける場合には、100億円以上に跳ね上がる。そして、日本国内の世論操作のために、北朝鮮を挑発する。

 昨年トランプは中国に対し28兆円の兵器を売りつける契約を結んだとか。それらの武器が南沙諸島や尖閣諸島に回るであろうことは想像に難くないし、回り回って北朝鮮のミサイルの部品になる可能性だって否定できない。一方で、辺野古新基地建設を急かし、2本の滑走路のみならず、大型空母の港や核弾頭格納庫も作り、アジアやアラブの緊張を煽る。完全にマッチポンプである。利益を貪るのは、アメリカの巨大軍事産業、いずれ泣くのは、一般の国民・庶民なのである。歴史は間違いなく繰り返している。


 さて、本題に戻る。仕事や自身の音楽活動に忙殺され、ライブ観戦に全然行けていない印象だったが、いざ10本選ぼうと一年を振り返ると、候補が30本くらいあり絞るのに苦労した。殺伐とした生活の中、せめてもの安らぎのひと時を求めて、結構ライブハウスに足を運んでいたのだと苦笑してしまった。

 10本中、8本が沖縄のミュージシャンだった。ジャンル不問で世界中の音楽を聴いているのだと豪語している割には、恥ずかしいやら、驚くやらだが、別に反省することでもあるまい。

 いつものように、複数観ているミュージシャンは最も印象深かった一本のみを記載した。


【1位】新良幸人 
    6月23日
    @那覇・Output

 予定調和の唄者が1位で申し訳ない。パーシャクラブは複数回観たことがあるが、それとは全く印象が違った。慰霊の日の晩。「こんな日だからこそ、余分なことは言わず、呑んで歌いましょう。」とノーMC。パーシャのような娯楽性は一切排除して、火の出るような三線の演奏と緊張感。凄いの一言だった。

【2位】Willie's Band
    12月29日
    @沖縄コザ・ZIGZAG

 紫やコンディショングリーンに比肩するオキナワンロックのレジェンド、Willie氏。5年ほど前にコザのイベントで観てぶっ飛び、ようやく再び見ることができた。マイルスデイビス、ジミヘン、マービンゲイ、ストーリーズ等のジャンルを超えた名曲をディープなグルーブでアレンジ。やっぱりぶっ飛んだ。「東京でも受けますよ。」と声をかけると、「東京が求めるものは(真の)音楽でなくタレントだから。」と東京の業界と聴衆をバッサリ。

【3位】与那覇歩
    7月17日
    @石垣島・うりずん

 彼女を十数年間継続的に追っかけているが、準地元でのこの日のライブは一味違った。東京や観光客の多い那覇と違って、観客のノリが異次元だったのだ。たまたま地元の高校の郷土芸能部のOB会があったようで、宴席はこう楽しむべしというお手本を見せてもらった。歩さんも煽りまくって、もはや狂乱状態。日常を忘れ去り、非日常を謳歌するという光景を目の当たりにした。

【4位】オモイトランス
    11月25日
    @那覇・Output

 小生にとって今年の新人賞。6月にコザミュージックタウンで偶然リハを見て、数ヶ月後改めて主催ライブに潜入。20代前半なのに結構サマになったロックをしている。フィルの少ないドラム、リードを弾かないギターはタイトな演奏に徹しているが、ベースは動きまくりで凄腕。キャッチーなメロとしっかり芯が詰まったボーカルが最大の魅力かな。プロモーションとダイエットをしっかりやれば、全国的に通用するような予感。

【5位】琉球チムドン楽団
    6月30日
    @東京・新大久保・アールズアートコート

 てぃんくてぃんくのさーちがこんな貫禄ある唄者に成長していたとは。元々歌はうまかったが、単なる唄者から、曲の世界を演出するナリキリ表現者へと一皮むけた感じ。楽曲もネーネーズやりんけんバンドが出てきた90年代初頭のムーブメントからは、一皮むけたワールドミュージック風でカッコいい。この時は大半がオケだったが、今年は是非フルバンドを観てみたい。

【6位】
5月28日
    @東京・御徒町・かんもうれ

 上京前から応援してきた若手実力派。昨年後半はとんとご無沙汰してしまったが、彼女のオリジナル路線を今一歓迎していないのが一因か。鍛錬された歌唱や三線に対し、ソングライティングは明らかに発展途上。ファンも多いが人気は水もの。チャレンジし続けながらも、個人的には民謡を中心にさらなる実力をつけて欲しいと思う親心。

【7位】吹雪ユキエ
    10月29日
    @東京・大井町・風に吹かれて

 7位でようやく非沖縄。小生のバンド仲間のソロ活動を観に行って遭遇したシンガーソングライター。一見屈折したものを持ちながら、素は根っから純粋という雰囲気を醸し出す。オリジナル曲もさることながら、ちあきなおみや日吉ミミの気怠い曲が良く似合う。小生が若かったら惚れてしまうタイプ。

【8位】石川栄尚
    4月22日
    @沖縄コザ・ゲート通り

 コザゲート通りのストリートミュージシャン。格好/選曲/歌唱/ギター演奏がレトロ過ぎて凄い存在感。米兵に叩かせてお金をもらうためにコンガを置いていたので、小生も30分ほど叩きご機嫌なコラボをさせてもらった。また会いたくて、コザに行く度にその場所に行ってみるのだが、いつも別のパフォーマーのHarukaze氏がいるだけで、彼には会えていない。

【9位】仲松辰夫
    7月5日
    @石垣島・栄福食堂(トニーそば)

 数年前に引き続き、小生のためだけに20曲ほど披露してくれた。若い頃に流しを夢見て上京したが、夢を果たせず2年で島に戻った。メジャーな昭和歌謡はもちろん、誰も知らないようなC級、D級歌謡曲を平然と歌いこなすことから推察するとこの人のレパートリーは1万曲くらいあるのではと驚いてしまう。流しは無理でも、今年あたり東京に呼んでライブをしてもらおうと考えている。

【10位】藤原大輔
     6月9日
     @東京・神保町・視聴室

 先入観なしで聞くと絶望的に暗いJAZZで、そんなに突出しているわけではない。しかし、ノーベル賞を受賞したガルシア・マルケスを始め南米の小説家の小説を読んで、その情景をそれぞれの曲にしたと説明を受けると、俄然聴く側の想像力を刺激して曲が輝きを放つ。アナログムーグの発信音や師匠外山明のドラミングも痛快で、残る沖縄勢を押しのけてランクイン。


 沖縄に限らずあちこちに出かけて、その土地土地の音楽や芸能に触れるのが好きだ。昨年は大宰府で見た「櫟木神楽」や長崎くんち等の伝統芸能の素晴らしさに感動。旅先のライブハウスにもふらりと出かけるが、昨年印象に残ったのは、札幌のIvy Linや熊本のSalahらの若いミュージシャン。若さの輝きを頼もしく思った。








 音楽を切り離して、昨年最も印象深かった旅先を挙げると、長崎とネパールだろうか。

 長崎は幕末に坂本龍馬が武器商社を設立するなど、明治維新に向けての武器貿易の中心地となった。フランスのシュネーデル社が幕府側に兵器を売り、イギリスのジャーディン・マセソン社が、グラバーや坂本龍馬の仲介で薩長連合に兵器を売っていた。ところが、シュネーデルとジャーディン・マセソンは元々は同族会社である。日本に売っていた銃や大砲は、アメリカ南北戦争終結に伴い、大量に余り上海市場に持ち込まれた同じものである。
 一つの戦争が終われば、軍事産業は、次のビジネスを求め国家を操り新たな戦争を扇動し、敵味方両方に武器・兵器を売るのである。その構図は今も昔も変わっていない。第二次世界時、アメリカに火薬を売っていたデュポン社と、ドイツに火薬を打っていたイーゲー・ファルベンも見事に同族会社である。

 龍馬が暗殺されると、その商権は、岩崎弥太郎が引き継いだ。弥太郎はグラバーと組んで、長崎で造船業や炭鉱業をも始め、後の巨大三菱財閥を形成していく。第二次世界大戦時、長崎には、三菱の造船所や兵器製造所があった。それゆえ長崎には原爆が落とされた。
 長崎の原爆の数日後、日本は降伏し、現在に至るまでアメリカの支配下に入ることになる。兵器のほとんど全てをアメリカから購入させられるのはもちろんのこと、沖縄の基地の存在がアジア・中東の緊張を煽り、アメリカの軍需産業の片棒を担ぐ構図になっている。

 クソトランプの裏には、彼を操る巨悪がいる。彼らの欲望のために、庶民が原爆や地上戦で犬死させられる不条理。長崎でもそれを無念に思った。


 ネパールでは、釈迦の生誕地ルンビニに行った。生誕の井戸の周りの暗がりで、眼だけ光らせじっと祈る無数の人々。欲=煩悩から解き放たれようと、生きる意味を模索している。人を殺したり不幸にしたりすることを屁とも思わない欲望にまみれたクソ達とは対極の姿であった。   


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