ここ数年間の習慣に従い、今年一年間の印象に残ったライブを備忘録としてまとめておく。てぃーだブログにおける小生の唯一の仕事である。
その前にこの一年に対する雑感を。
世界最強軍備を有するならず者国家の大統領に最悪のならず者が当選するわ、非常識首相が調子に乗ってさらに増長するわで、世界も日本もそして沖縄もますます暗雲立ち込める一年になった。
車も家電製品も世界中に行き渡り、もはや通常の経済成長=搾取システムが機能しなくなりつつある。その点、軍需産業は金儲けとして実に効率がいい。車のようにチマチマとした営業活動は要らない。オスプレイ1機で車数千台分の売り上げになる。競争相手も少ないし、支払いは税金からだ。
軍需産業と国家が表裏一体となって、裏から思想対立、民族対立、宗教対立、利権対立を煽り、やれテロだやれ敵国が領海侵犯しただと喧伝し、基地や兵器が当然のごとく必要だと思い込ませ、国民の税金でがっぽり稼ぐビジネスモデルなのだ。
辺野古も高江もそのビジネスモデルの中にある。巧妙に隠されている真の対立は、東西の対立でも宗教の対立でもなく、グローバルな巨大経済支配と被支配の対立なのだ。そこに気が付くべきだろう。仮想敵国の人間もテロ国家の人間も、そこに暮らす人々は同じ人間なのだ。最新鋭の基地を作ったり、オスプレイを配備するのは、ますます対立を煽り、憎悪を生み、軍需産業を増長させる道につながる。それは、ひいては新たな格差や貧困や次なる対立につながって行くのである。彼らの思うつぼであり、そろそろその負の連鎖を断ち切らねばなるまい。
書いていてイヤになって来たので、これくらいにして、楽しいライブの振り返りをしたい。例年通り複数回観戦したミュージシャンについては、原則1回のみ登場してもらった。
【1位】
矢野絢子 vs 銀天団
11月26日
@沖縄・コザ・音洞
恐ろしいものを見た。ここ数年でも最大級のインパクト。メジャー在籍時の「てろてろ」や「夕闇」の純粋で切ない彼女とは真逆の屈折して異様な世界。ダブ/プログレ/アバンギャルド/ジャズ/歌劇/大正歌謡等が融合した変態音楽。地元の生ダブバンド銀天団も驚異の好サポートだった。
【2位】
安富祖貴子
5月28日
@沖縄・那覇・Music cafe kumoji
2004年のデビューアルバム「TAKAKO」は、太く伸びやかな歌声が衝撃的だった。ずっとライブを観たいと思って来たが、いつの間にか彼女が故郷沖縄に帰り、タイミングを逃していた。その沖縄でついに観ることができた。体は小さいのにパワフルな歌。今年亡くなったプリンスのパープルレインで涙した。
【3位】
Lisa Oki
6月2日
@東京・御徒町・和海
今年一番本数を観たミュージシャン。正直伸び悩んでいる気がするが、その愛すべきキャラはますます進化。彼女が敬愛するBEGENのメンバーの前で歌う機会にたまたま小生も遭遇した。感極まっての号泣に彼女の無垢で素直な性格を見た。12/19の誕生日ライブでの号泣も記憶に新しい。
【4位】
与那覇歩
6月18日
@東京・王子・ハイビスカス
ひと頃ほどの回数ではないが、東京で3本那覇で2本観た。久しぶりに観ると「やっぱり凄い。」と驚いてしまう。特にハイビスカスでのライブは、気合の入り具合、声の状態、選曲、MC、バックの演奏、全てに良かった。才能があって、その上で、ストイックで努力家で妥協を許さぬプロ根性に感服。
【5位】
港家小ゆき/玉川奈々福/玉川太福
10月2日
@東京・浅草・木馬亭
この日は小生が好きな若手実力派3人が揃い踏み。三味線の曲師と二人だけでスペクタクルのような広大な音楽劇を作って行く。写真だけ見ても伝わってくるド迫力。最近は若い人が次々出てきて活性化の予感。
【6位】
民族音楽「史曲・尚円」
11月3日
@沖縄・浦添・てだこホール
普久原恒勇作曲による音楽絵巻の21年ぶりの再演。おそらく九州の倭寇であろう尚家の出自やクーデターによる琉球王朝乗っ取り等の史実の検証はともかく、エスニック色豊かな演奏は迫力があって秀逸だった。「芭蕉布」の普久原恒勇は、大衆曲にとどまらずなかなかの才能と感心した。
【7位】
橋本じゅん(JMKTNM)
2月6日
@東京・西荻窪・CLOPCLOP
ツワモノ揃いのメンバーによる緊張感溢れるジャズロック。フランクザッパをカバーをしているバンドを初めて観た。橋本氏と話をしたら、ザッパの歴史的1stアルバム「Freak out」の完全コピーライブを初夏に企画中とのことだった。いつやったのか気づかず、見逃して残念。
【8位】
トリオ座(林栄一/國仲勝男/小山彰太)
10月28日
@東京・阿佐ヶ谷・Yellow Vision
ジャズ界重鎮によるトリオ。吹きっぱなし弾きっぱなし叩きっぱなしのスリリングな即興演奏。沖縄出身の國仲氏が「土人です。」と自己紹介し、観客の失笑を誘っていたが、翌週泊まったやんばるの民宿の女将が「若い時に大阪の出稼ぎ先で土人と言われた。」と聞くと、失笑では済まされない。
【9位】
杜牧&Air Super Band/Once樂團 他
3月18~21日
@台湾・高雄/台東/台南
台湾南部を回りライブハウスに入り浸った。台北やソウルや上海より断然面白い。高雄の有名店「藍色狂想」でレベルの高い洋曲を堪能し、原住民の街、台東で原住民バンドのハードロックを聴いた。台南では祭りの喧騒に出くわした。台湾の近代史は南部から始まっており、それぞれの街の歴史もディープなのだ。
【10位】
あびこめぐみ
2月11日
@東京・小岩・こだま
Lisa Okiとの2マンライブ。以前浅草で見たことがあったが、かわいいだけの唄者かと思っていた。が、今回見直した。安全保障関連法(別名:戦争法)の国会での採決を本気で憂い、加川良の反戦歌「教訓Ⅱ」を歌ったのだ。ミュージシャンに共感する最終的な部分は、彼/彼女の信条であり生き方なのだ。あびこ、いいぞ。これからも、聴衆に向かってあなたの熱いメッセージを発信して行ってほしい。
以下番外編として、それなりに興味深かったライブの写真を掲載して、本年の終わりとしたい。来年こそいい年になりますように。
久々のRidea。基地のシンガーのイメージが強いが、すっかり平和モードに。
コザのbloom。ピンクフロイドのカバーもしており親近感。
横浜を中心に活動しているフィリピン人のMrie Esperanza。歌も客を乗せるのもうまい。
演歌歌手田原みどり率いるハードロックバンドAglaia。ギターが酔拳状態でKill the king。
ゴマアブラ。池袋路上ライブで見かけて改めてライブハウスへ。ベース超絶、残念ながら曲平凡。
Lisa Okiの同級生にして元相方。彼女こそビジュアル系ポップスを。
ソウルの企業のパーティーに出演していたバンド。無名でもルックスは見事にK-pop。
お後がよろしいようで。