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2012年01月22日

Rideaライブレポ「ROCK not to roll」

Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


ライブから1ヶ月経ってしまい、関係者や少ないながらも読者の皆様には、大変お待たせして、申し訳なく思っております。現在、公私共に全く余裕なしの状態です。
他の人のブログ等にもお邪魔できず、週一ペースを信条としているライブ観戦にも今年はまだ一度も行けず、バンドのメンバーから練習の打診があるも応ずることができない日々を送っております。
本日少し時間ができたので、昨年の書き残し第2弾、12月22日美浜「Salt&Pepper」でのRideaライブレポを書きたいと思います。


小生がRideaを初めて見たのは、原発事故の数ヶ月前、一昨年の夏のことでした。東電の原発の宣伝に出ていた某シンガーソングライターを取材しようと、渋谷のライブハウスに足を運びました。
そこで、Rideaを偶然に見かけ、ぶっ飛びました。
ヘナチョコな歌を歌っている他の数名の出演者とは一線を画す、スピリットにあふれる歌やシャウト、時代に迎合しない確固たるスタイル、これでもかと迫ってくる個性。何の予備知識もないミュージシャンを見て、久しぶりにディープインパクトを受けました。
帰り際の物販コーナーで、もともと取材したかった原発シンガーが隣にいたにも関わらず、Rideaと話し込み、「必ず沖縄に行きますわ。」と言って、コンピCDを買って帰りました。

以来彼女が歌う金武町のライブハウス「Dream」に通い詰めました。
シンガーソングライターRideaは、Aki&BuzzlightのボーカリストAkiちゃんのもう一つの顔。Akiちゃんはこのライブハウスで10年近く歌ってきました。AkiちゃんもまたRideaとは違う魅力にあふれていました。

返還前の沖縄の雰囲気を引きずる基地の街。日本の辺境の地、日米安保の歪の街で、世界の支配/被支配や米兵の生死をも引きずりながら展開される深夜のハードロック。世界の矛盾や不条理をも吹き飛ばしてしまうようなAkiちゃんのシャウトと、ロック演奏暦40年以上の剛腕バンドBuzzlightの演奏。Deep Purpleを中心とした70年代ロックが疾走します。
彼らのレパートリーの一曲、Led Zeppelin「天国への階段」の歌詞を借りて表現すれば、
 This is the ROCK not to roll.
 (これこそ、転がることのない(=信念に満ちた)
  岩=ロックなのだ!!)
と叫びたくなるような本物のロックなのです。

音楽性や立ち位置は全く違うけれど、RideaとAkiちゃんに共通するのは、時代を超越する確固たる個性と、脚色なしでいつの瞬間も100%自分を出し切るアグレッシブさだと思います。


新しいHPでRideaとしての活動が再開されることを知りました。シングルCDをリリースし、レコ発ライブを東京と沖縄で行うとのこと。
前回東京でのコンピCDレコ発の時には、ピアノに向かってのソロライブでしたが、今度はバンドを引き連れてのライブです。
これはなんとしても見なくてはなりません。
しかし、東京ライブの日はすでに終日関西での仕事が入っており、調整の余地はありません。かくなる上は沖縄で見るしかなく、小生は平日にも関わらず、沖縄まで飛んだのでした。

美浜のSalt&Pepperは100人以上の客で超満員。すぐ後でRideaのバックを務めることになるParallel Hamburger二人のオープニングアクトに続いて、派手な照明とスモークを伴ってRidea登場。いつもの黒のいでたちながら、胸の光物と少しカールをかけた髪とかわいめのお化粧がかなりオシャレです。

舞台中央に彼女のピアノ。横と後方を4人のバックバンドが取り囲みます。SE代わりのインスト曲に続いて、AOR風ミディアムソウルナンバーの「Music」。
いやー、むちゃくちゃカッコいいです。
DsとBのタイトなリズムと心憎いまでの間。GとKb上もの二人の抑揚の効いたバッキングとオシャレなコード進行。キメのフレーズは全員でたたみかけ、ブレイクはバシッと決めます。
恐ろしいほどのテクとセンス。
そこに乗っかるRideaのハスキーなボーカル。
凄いの一言。

続くシングル曲「晴れた空」や、以前からのナンバー「一緒に」「こいのうた」等も、同様にクオリティーの高い演奏が続きます。
8ビートのストーレートなロックは一切なく、ソフィスティケイトされたソウル、ファンク、レゲエ等のブラックなリズムが基本です。Dsはリムショット、Bはスラップを多用。クイやタメも自由自在。
GとKbがクールなバッキングをしていたかと思いきや、一転ホーンやストリングスの分厚いシンセ音が覆いかぶさってきます。
最高レベルの演奏に、パワフルでソウルフルな歌。少し耳の肥えたリスナーなら、必ずぶっ飛ぶこと間違いなしです。


現在Rideaをプロデュースしているのは、Kbを弾く永井誠一郎氏です。音楽会社の社長を務めながら、GLAYや黒田倫弘(元ICEMAN)のバックバンドを勤めており、つい数日前までGLAYのライブで数千人の観客を前に演奏してきたところなのです。

永井氏が集めたと思われる他のミュージシャンも凄い。
Bの今野光弘氏は、石井竜也、上戸彩、Rip Slyme等のレコーディング&ライブをサポート。
Dsの中村勇輝氏は、セネガル、ブラジル、キューバへリズム修行の後、Akeboshi、加藤ミリヤ、森広隆、ハシケン(小生好き!)、Yae(小生大好き!)らのコーディング&ライブをサポートしています。
Gの武藤良明氏は、河口恭吾のプロデュースを手がけるかたわら、DREAMS COME TRUEのバックバンドを長年勤めています。
凄いはずですわ。現在のJ-POP、J-ROCKを支える凄腕ミュージシャン達。今彼らがRideaをサポートしています。

日本最高レベルの完璧な演奏に酔いしれながら、後半へと進むにつれて、小生は少しだけ違和感を覚え始めました。
この完璧な演奏は、小生は全く聴かないけれど例えば平井堅やmishaといった「J-SOUL」にカテゴライズされる曲の演奏とどこが違うのか。

一体全体、この演奏は完璧過ぎないか。
調和が壊れたところに生まれるダイナミズムが見当たらない。
ミュージシャン同士の火の出るようなインタープレイがない。
永井氏の書く譜面どおりの計算された演奏。
そう演奏するのがスタジオミュージシャンの役目。
感情の右脳の音楽ではなく、終始理論の右脳の音楽。

今この音の塊の中で情熱と情念をもって演奏しているのはRideaだけではないのか。
ホットすら計算して演奏されるクールネス。


以前のブログにこのような趣旨のことを書いたことを思い出しました。
「RideaのコンピCDを聴いたら、こじんまりまとまっててガッカリした。自由に暴れまわる個性あふれるRideaはライブで聴くべし!!」
完璧な演奏は、裏返して言うと、日本中、世界中どこにでもあり、それゆえトータルな音として彼女の個性を薄めてしまわないか。
このライブでも同様な現象が起こり始めている。


Aki&Buzzlightが一番多く演奏するDeep Purpleはどうでしょうか。
イアン・ギランはバンドの看板ボーカリストですが、それ以上の看板は、Gのリッチー・ブラックモアです。バンドアンサンブルは当然あるものの、ギランとリッチーはライブで終始バトルを繰り広げます。
Kbのジョン・ロード、Dsのイアン・ペイス、Bのロジャー・グローバーも同様。ボーカルはあくまで1/5とばかりに、自己主張して行きます。
Led Zeppelinはもっと顕著でしょう。ロバート・プラントは、ロック史上最高のボーカリストだと思いますが、ライブ演奏上は、いつもGのジミー・ペイジや、Dsのジョン・ボーナムの激しいリフ攻撃に晒されています。
しかし、両ボーカリスト共に、バックに負けじとエネルギーを爆発させるからこそ、そこに緊張と予期せぬ調和が生まれ、それが聴衆の感動を呼ぶのです。

AKiちゃんもまた10年間にわたり、Deep PurpleやLed Zeppelinを演奏するBuzzlightのメンバーと火花を散らし、ボーカルを磨き、個性を育んできました。
それが、Rideaバンドはどうだ!!
最高のセンスとテクニックを持ち合わせ、音楽的には完璧です。しかし、同時に最高のサポート技術も持ち合わせてしまっているのです。
基本はボーカルを立てて、ボーカルの隙間ではピシリと決める。スタジオミュージシャンの性(さが)でしょうね。

断言すれば、そのスタイルはRideaには本質的に合わないと思います。Rideaを予定調和の世界に引き込んではいけません。あくまで、バックバンドと正面切って戦い、火花を散らす。それが彼女の個性をより引き立たせます。
イアン・ギランやロバート・プラントのように、ギターに負けじとシャウトする、ベースに負けじと唸りもだえる、ドラムに負けじと吼えまくるべきなのです。


感動的なバラード「君と行く道」で締めくくり、Rideaの再スタートライブは大成功に終わりました。
小生はひねくれ者のリスナーですから苦言を呈しましたが、おそらく、プロモーションさえうまく行けば、メジャーでも成功するのでは思わせました。
日本中見渡しても稀有な、パワフルでソウルフルなボーカルと、オシャレで完璧な演奏。これが売れなければ、日本の音楽事情はどうにかしていると思います。


翌23日、レンタカーを借りて、金武町まで行きました。今度は恒例のAki&Buzzlightの演奏を見るためです。
ある程度予想していましたが、G武藤氏を除くRideaバンドのメンバーも駆けつけました。
前日あれだけ精魂こめて歌ったのに、観客席のRideaバンドのメンバーを前に、いつもより一段の気合を入れて歌うAkiちゃん。
ジミヘンの「紫の煙」の長いギターソロに執拗に噛み付くボーカル。負けじと返す山川御大のギターソロ。バトルが白熱。
おー、This is the ROCK not to roll!(=これがロックだ!)

深夜12時を過ぎ3rd setになって、酔っ払った勢いで、Rideaバンドのメンバーがステージに上がりました。居合わせた十数人のお客さんはやんやの喝采です。普段武道館や東京ドームで演奏するミュージシャン達が小さなライブハウスのステージに立ちました。

「譜面なしでどうするべ。」と山形弁でB紺野氏。
譜面なし。使い慣れた自分の楽器もなし。
出だしでいきなりKb永井氏がコードを間違える。中断。
曲の途中でDs中村氏がフィルの長さを間違える。全員失笑。

プロのスタジオミュージシャンとしては失格。
しかし、そんな小さいことはどうでもいいです。曲のダイナミズムは前日より圧倒的にいいです。
そこに立っているのは、譜面弾きのクールなスタジオミュージシャンではなく、酔っ払ったホットな生身のミュージシャン。
B紺野氏のぶっといファンクベースとDs中村氏のアフリカ・ラテンアメリカ仕込みのポリリズムが炸裂。Kb永井氏のアドリブが自由闊達に動き回る。Rediaのボーカルもさらなる命を得て輝きを増す。

4人のインターラクションによる化学反応が大きなグルーブを生みだして行きます。
これですわ。これこそバンドミュージック。
This is the ROCK not to roll!(=岩のような真理ですわ!)

3曲の演奏でしたが、凄いものを見せてもらいました。
最後に真ん中にAki=Rediaが座り、2つのバンドのメンバーがその周りを囲んで写真撮影をさせていただきました。
今年Rideaが大ブレークする予感を胸に、小生はカメラのシャッターを切ったのでした。


Rideaライブレポ「ROCK not to roll」


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この記事へのコメント
多分そうだと思うのです、違ってたらすいません、
沖縄のライブが終わった後、少しお話していただいた紺野ファンです。(^^;)
教えていただいたにも関わらず、Rideaさんのバンド名のつづりがわからなくて
途方に暮れていたのでした。(笑)
こちらに辿り着けてよかったです。
またどこかでお会いしましたらよろしくお願いします~(^-^)/
Posted by たき at 2012年02月08日 10:27
>たきさん

返事が遅れてすみません。
1ヶ月近くサボっておりました。

あの日寒い中随分早くから待っておられましたね。小生も(自転車で)早目に行ったので、わかったましたよ。

紺野氏のベースはすこぶるご機嫌でした。
「ポール・ジャクソンみたいなプレーですね」ってご本人に言ったら、「ジャクソン先生に申し訳ないです。」って照れてましたが、むちゃくちゃイケてました。

小生の専門は実は若干違うので、なかなかライブ会場では会えないと思いますが、今後ともよろしくお願いします。

明日ブログを覗かせていただきます。
Posted by 猫太郎猫太郎 at 2012年02月19日 00:31
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