てぃーだブログ › ネコ灰だらけ › 沖縄音楽アーティスト › 7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」

2011年11月10日

7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」

7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」


7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」


7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」


琉球ブログをやっているとは言え、札幌まで来て沖縄のバンドを見るとは思いませんでした。11月4日、札幌市教育文化大ホールで、沖縄在住の7!!(Seven Oops=セブンウップス)のライブを見ました。

7!!のことはこれまで全く知りませんでした。ヤフオクでScandal札幌公演のチケットを落札したところ、ぴらつか暦で7!!が前座を務めることを偶然知りました。琉球ライターにとっては、棚からボタモチです。

平日の公演で、メインのScandalの開演まで時間があったため、7!!の開演時には会場は5~6部の入り。それでも、AKB48の宮澤佐江が出演している青春映画や、人気アニメNarutoの主題歌を歌っているせいなのか、早くから駆けつけたファンは、彼らのことをよく知っている様子。「ナナエ!」とか「マイコ!」とかいう歓声が飛んでいます。

小生はすでにたぬき横丁の居酒屋で北海道のお酒「千歳鶴」を引っ掛けていましたが、初めてのバンドなので冷静に観察モードです。
眩い逆光のスポットライトの中から現れた4ピースバンド。ボーカル、ドラムのセンターラインが女の子、ギター、ベースのウイングラインが野郎という構成です。ボーカルがナナエちゃんで、ドラムがマイコちゃんとのこと。色白でヤマト顔のナナエちゃんも、色黒で沖縄顔のマイコちゃんもなかなかチャーミングです。ちなみに野郎二人も沖縄顔。

金属音を含んだ硬いセミアコの8分の刻みの上に乗ってくる甘い声の艶やかなボーカル。
おー、なかなかいいぞ!
1フレーズ歌った4拍目にバスドラとスネアが「ボンタン!」と入り、4分の刻みを基調とした力強いベースとドラムが始動します。ギターも大きなうねりに。
おー、なかなかいいべ!!

Bメロで、ギターがシンコペ気味のカッティングに。
足を広げて前かがみになって全身を左右に振って歌うナナエちゃん。大きなタレ目がクリクリと動く。
おー、かわいい!
曲が一気に熱を帯びて行きます。

ベースがフレットを駆け上がって、マイコちゃんの3拍目裏からの「ン、タカタカタカ」というスネアのフィルインを合図にサビに突入。
ギターは勝負どころのディストーションをオン。

「ない♪ない♪ない♪奇跡なんてないんだよー。期待もしてないー。」
という韻を踏んだキャッチーなメロディラインが、グサリと胸に突き刺さります。ナナエちゃんの歌声は極上の癒し系!
おー、おー、むちゃくちゃいいじゃんか!!!

センターラインの二人のかわいさと、上質なポップセンス。このバンドは売れるに違いないと確信しました。この会場で最年長ではないかと思われる自分の歳を忘れて、小生は心がトキメいたのでした。

しかし、2曲目から、その確信が揺らぎ始めました。
テンポが速いか遅いかだけで、曲調がワンパターンなのです。しかも、1曲目のような研ぎ澄まされたキャッチーさがなくなってしまいました。
凡庸な8ビートのリズムに、凡庸なコード進行に、凡庸な歌メロ。若いプレーヤー達の引き出しの少なさが露呈してしましました。1曲目の完成度が素晴らしいだけに、かなりガックリ来ました。

小生はドラマーなので、4人を代表して、あえてマイコちゃんのドラミングに苦言を呈し、問題点を抽出してみましょう。
力み過ぎでリズムがやたらと硬いです。力むから体の芯もぶれまくり。
ドラムはヒジから先、特に手首で柔らかく叩くもの。マイコちゃんは腕で力任せに叩いています。これがリズム硬直の一因になっています。スネアの表情豊かなプレーをハナから放棄しているようなものです。

ハイハットを7~8割方、オープンかハーフオープンで刻んでおり、これがボーカルにかぶってもの凄く耳障りです。音数が少ないバンドなので、少しでもラウドな音を出したい気持ちは分かりますが、ハイハットの基本はあくまでクローズであり、ハッとするようなアクセントや表情をつけるためのオープンなのです。

クラッシュシンバルの叩き方も問題です。クラッシュの位置が高すぎる上に、いちいち大きく振りかぶって力まかせに叩くので、鍋のフタを床に落としたような下品な音しか出ません。小生が敬愛するドラマーの外山明先生などはワンクラッシュで108通りの音を出しますよ。クラッシュの位置は、素早い移動と全面どこでも叩けるようにもっと低くした方がいいでしょう。

また、8ビート以外のリズムを幅広く習得すべきです。16ビート、ファンク、ブルース、シャッフル、4ビート、レゲエ、スカあたりは最低限必須でしょうね。
8ビートを叩くにしても、シンプルな8ビートと、頭の中に6/8やシンコペが同時鳴っている8ビートでは、リズムの柔軟性や深みが全然違います。
ポリスのレゲエ→サビで8、レッチリのファンク→サビで8、ラッシュの変拍子→サビで8のような露骨なリズム転換も、はまればカッコいいです。

音数が少ないから、ガチャガチャ鳴らせばいいというものではありません。キーボードレスの3ピース、4ピースバンドをカッコよく演出するひとつのポイントは、間と変化をいかに効果的に使うかということです。


その点、7!!の後に出てきたメインのScandalを決して侮ってはいけません。
ドラマーのリナちゃんは、ヒジまではほとんど動かず手首を中心にスティックをコントロールしています。ハイハットクローズが基調であり、クラッシュを多用するけれども移動は最短距離。リズムキープや音の粒に悪影響を与える体の芯は全くブレず、非常に柔らかい安定感のあるプレーをしています。体がブレない代わりに、時々頭を跳ね上げて、ロングヘアーを宙に舞い上げ、ビジュアル的にめちゃくちゃキマってます。

リズム隊の相棒、ベースのトモちゃんが、これまた曲者。
好きなベーシストが、当代髄一のプレーヤー、レッド・ホット・チリ・ペパーズ(レッチリ)のフリーときた。目指すは日本版フリーとのこと。オジサンはこの発言自体が信じられません。
実際一番得意にしているのは、スーパーグルーブ曲「Everybody say yeah」におけるようなディスコベースのプレーです。今年のヒット曲「Pride」のサビの部分を含めて、3~4曲はディスコ調の曲があります。ディスコ曲になるとレッチリ・フリーのようなステージアクションをすることに気がついたのは、小生だけでしょうか。観客の9割を占める中高生に分かるはずがありません。

「Don't say lazy」では綺麗なスラップ(昔の用語でチョッパー)を披露するし、「少女S」はある面ファンクだし、70年代ハードロックや、80年代アメリカンロックや昭和歌謡のグルーブもキメまくりです。余興曲では、打ち込みのテクノポップ風やヒップホップ風のラップも披露して、これらもなかなかご機嫌でした。
現在の日本のポピュラーミュージック界における旬な作曲陣(コストはかかる)を起用しているせいもありますが、リズムの多様性と消化ぶりは、7!!と比べようがありません。

ついでに言うなら、ミュージシャンたるもの、突出した個性戦略が重要であり、その観点から、Scandalのエロカワぶりは中途半端じゃありません。

昔はミニスカにブレザーの女子高生ルックだったですが、この日は一見SMルック。太ももの露出は相変わらずで、それも、さりげなく太ももも内側を見せるようなポーズや踊りが多いです。
太ももが一番肉感的なマミちゃんが腰をくねらせてリードギターを弾く様は実に官能的です。太ももフェチにはたまりませんな。でへへへ。
今回のツアー名「Virgin Hall Tour」に引っ掛けて、他の会場では、「Virginあげる。」とか「Virgin Holeって意味分かる?」とかの発言があった模様です。今回は「初体験よん。想像して。」と連呼。男子中高生は、このMCだけで射精もんでしょ。

こうやって比較すると、演奏もキャラも7!!は優等生過ぎますね。
しかし、一方で7!!の一曲目に演奏した「フォーリン・ラブ」の完成度は特筆すべきものがありました。
「3ピース、4ピースバンドは間と変化が重要である」と言った小生のアドバイスを参考にするなどして、努力と精進を重ね、あとは多少の運があれば、この先大ブレークする可能性は十分にあります。
今日こうして1曲とは言え、胸躍らせて聴かせてもらった感激をご縁に、この先陰ながら応援したいと思います。


丸々2時間のScandalの公演が終わって、ロビーに出ると、札幌公演を祝う花輪が置いてあることに気がつきました。
送り主は、札幌出身で、アクターズスクール先輩の「Zone」からでした。タイプは違いますが、ガールズ4ピースバンドの先輩格です。
「Secret Base」が大ヒットして、紅白歌合戦にも2~3回出演したことがあるZoneですが、今や泣かず飛ばずで、つい1週間前にもメンバーが抜け、残った二人で活動していくとの寂しい報道がありました。

それを言うなら、昨日羽田空港への行き道、JRから京急に乗り換えるために通った蒲田の商店街で見かけた「CD10円セール」のことを思い出しました。
ふと目をやると、アクターズスクールという意味ではScandalの先輩で、沖縄出身という意味では7!!の先輩であるSPEEDのCDが山積みになっていました。
泣く子も黙るスーパートップアイドルで、伊秩弘将がプロデュースするジャパニーズファンクが玄人にも評価され、結果日本の女性グループ史上最高のCDセールス2000万枚を記録したあのSPEEDのCDが10円で投売り状態とは!!!
(小生は、耳の不自由な息子を育てながら頑張るシングルマザー絵里子ちゃんを今なお支持します!!)

7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」

ファンの心理は移ろいやすく、ミュージシャンがファンにチヤホヤされる期間など短いものです。長年に渡って活躍できるミュージシャンは、メジャーデビューできたミュージシャンの何千人かに一人に過ぎないのです。
いやいや。メジャーデビューできれば、まだいい方で、実力がありながらデビューできず、悶々と活動しているミュージシャンは、その何千倍もいることでしょう。

今をときめくScandalだって、2~3年後にはファンに飽きられ、次のガールズバンドが人気を博しているかも知れません。それが、7!!の可能性だって大いにあるのです。
この世界、どう転ぶのか誰にも分かりはしないのです。神のみぞ知るです。


Zoneの花輪を後にして、夜の札幌の街に出ると、暗闇の中を、いたいけな少女がチラシを手に、小生に近づいて来ました。
「来春デビュー予定の札幌の現役女子中高生グループ『4-SEASON』です。よろしくお願いします。」
息が白くなる寒さの中、チラシ配りのプロモーション活動です。かわいそうに。

小生、声をかけました。
「お嬢さん。お名前は?」
「4-SEASONのミカです。よろしくお願いします。」

「小生は、今日豊平の鮭博物館に行って来たから、ミカちゃんに言いたいことがあります。豊平川で生まれた鮭の稚魚が海に下り、他の魚や鳥に食べられず、数年後無事豊平川に戻って来られるのは、1000匹のうちでたった3匹しかいないんですよ。」

きょとんとする少女に向かって小生は続けました。
「ミカちゃん、それでも諦めてはいけないです。小生は、鮭博物館の後、羊ヶ丘のクラーク博士の像を見に行ったので、ミカちゃんにこれも言っときたいです。」

一呼吸おいて、ひときわ大きな声でこう言い放ち、小生は少女にクルリと背を向けて歩き去ったのでした。






「少女よ、大志をいだけ!!」

7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」


7!!(Seven Oops)ライブレポ「スキャンダルな夜」



同じカテゴリー(沖縄音楽アーティスト)の記事
尖閣でトニーそばを
尖閣でトニーそばを(2013-02-27 22:30)


※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。