ネコ灰だらけ

ライブを見てからあっと言う間に１０日近く経ってしまい、次のライブレポ（＝与那覇歩＠京都）も控えていますが、本件も是非書いておきたいライブレポなので、遅ればせながら書きます。

１月１５日、東京・入谷の「なってるハウス」に「庄田次郎＋ＷＡＤＯ＋佐藤えりか」を見に行きました。
現在６１才のフリージャズトランペッター「庄田次郎」の名前は、７０年代より聞こえていましたが、小生はライブを見たことがありませんでした。彼の古くからの共演者である豊住芳三郎、板倉克行、不破大輔らは今なお都内のライブハウスで見ることがあるのに対して、庄田氏を見る機会がなかったのは、彼の本業が郷里の静岡下田で経営するジャズ喫茶のマスターだからでしょう。

この日は、一緒にレコーディングしたこともあるというバンド「ＷＡＤＯ」と、コントラバス奏者佐藤えりかさんの若いミュージシャンをバックに従えてのライブです。
一番前に座っている小生に、開演前から話しかける庄田氏。ボディビルコンテストシニア部門で静岡県３位になったとか、ジャズ喫茶のお風呂に温泉を引いただとか、挙句の果ては、今日はカメラ係をやってくれと言って、液晶画面のない旧式のデジカメを渡されました。前半４枚、後半４枚、後半は「股間を狙え」との注文付きです。

演奏が始まりました。
６人で何も決めていない即興のフリージャズですが、「フリー」と言っても、言葉とは裏腹にマイルス・デイビスのパンゲア・アガルタ系の「定型」です。でも、かなりカッコいいです。

和太鼓が入っているのがアクセントになっています。和太鼓奏者は、バチさばきからドラマー出身であることを想起させますが、リズムキーピングだけでなく、効果音風に叩く時に、とりわけいいセンスが出ます。現代音楽家ヴァレーズの「砂漠」か、「猿の惑星」サントラ風に、唐突に「パカパカパカ、ドン」と空間を断ち切るかのように打ち鳴らして聴取をハッとさせます。

和太鼓奏者の弟のドラマーは、ジャズ系のテクニシャン。お兄さんに遠慮しているのか、終始軽く流していて、持っている技術を十分に披露していない感じです。こういう音楽で出し惜しみをしちゃいけませんな。ピアノトリオあたりの少人数でバカスカ叩かしてみたい若手です。

２本のギターのうち一人は、ロバートフリップ風。ギターシンセも咬ませて、ロングトーンのヒステリックなフレーズを放って行きます。時々、電気シェーバーやＦＭラジオをピックアップに近づけて、ノイズを発します。もう一人は、主にカッテングや単音リフでリズム担当。あまりうまくないのが幸いして、リズムに１/ｆゆらぎ感が出て、かえって雰囲気が出ています。

異彩を放っているのがコトラバスの佐藤えりかちゃん。小さい体ででっかいコントラバスを上から下まで弾きまくり。しかも表情一つ変えずブンブン刻んで行きます。なかなかのテクとキャラです。気に入りました！

若手ミュージシャンの野心溢れる、しかし半分無謀な演奏をバックに、正田氏は赤フンドシ姿のほとんど全裸状態で、大暴れです！！専門のトランペット以外に、サックス、クラリネット、各種パーカス、叫び、うなり、傘踊り、赤ちゃん寝、座禅などやりたい放題。
さすがに、トランペットやサックスの演奏は本物ですわ。即興一筋４０年の魂の咆哮とでも呼べるような底力を見せつけていきます。

ドコドコとアフリカ風に叩き、正田氏の破壊的なトランペットやサックスが乗っかると、小生何十枚もＣＤを持っているフェラ・クティのように聴こえます。シーケンサーのような正確なベース、太鼓に、ギターシンセが絡んでくると、フランスのプログレバンド、エルドンのようでもあります。
呪術的な気持ちいいグルーブが、段々激しくなると、もうクチャクチャですわ。そして、まるで射精のようなカタストロフィを迎えて脱力。いいですね。こういう音楽も小生のツボです。

ボディビルで鍛え上げた体躯に半裸の赤フンドシ姿が、はたしてこの音楽をやる上で意味があるのかどうか分かりませんが、還暦を過ぎて、生き様も音楽もなおエネルギッシュであるという印象を赤フンが増幅していることは間違いないでしょう。
女性の観客から見ると、「マッチョで赤フン姿はとってもセクシー！オジサマのトランペットのように、優しく激しく吹かれたいわ！」などと思っちゃったりするのでしょうか？？

演奏が終って、小生、フンドシ姿の庄田氏に「股間の写真撮りましたよ。フンドシは、股間への締め付けがなくていいですね。」と言ってカメラを返すと、小生の隣にいたおニイさんが、言いました。
「そうそう、日本人はフンドシを履くのをやめて、パンツを履くようになったから、精子の数が減って、現在の少子化につながったんだよ。」

なるほど、確かに陰嚢が半ば体外にあるのは、精子を作る酵素が体温より２～３℃低くないと働かないためであり、オタフク風邪で高熱が出たり、ブリーフやジーンズで睾丸を下腹部に押し当てたままにすると、男性不妊になると言われています。
他方で、女性の社会進出と晩婚化、子育ての環境やインフラが整っていないことが少子化の原因だと分析されおり、社会的要因としてはこの見方も正しいと思われます。
しかし、一方で、半世紀で日本人の精液に含まれる精子の数（密度）が半分になったことも医学的事実としてあり、精子の数が減れば、妊娠率が下がるのは自明のことです。

では、なぜ精子の数が減ってしまったのか？！
１０年前には、ダイオキシンや化学物質に含まれるいわゆる環境ホルモンが、女性ホルモン様の作用（内分泌撹乱作用）を起こして、男性の女性化が起こり不妊につながると騒がれました。
最近は山梨医科大学名誉教授 佐藤章夫氏が、詳しいデータと共にあちこちで発表している「牛乳説」がかなりの説得力を持っています。

昔の牛乳と今の牛乳は、成分が根本的に違っています。
一頭の牛に関して、搾乳と子牛の出産と食用のための屠殺を最も効率よく行うために、現代では妊娠中の牛から搾乳が行われています。
その結果、牛乳には、高濃度の女性ホルモン＝エストロゲン（卵胞ホルモン）とプロゲステロン（黄体ホルモン）が含まれるようになりました。哺乳類の女性ホルモンは、化学的に同じ構造をしているため、ネズミに対しても人間に対しても、ホルモン作用を示します。卵巣を取って女性ホルモンを作れなくしたネズミは子宮が収縮しますが、牛乳を与えると子宮が膨張してくるという実験結果もあります。

前思春期は男子の精巣（睾丸ですな）発育にとって重要な時期であり、それゆえ内分泌撹乱作用を最も受けやすいです。精巣のセリトル細胞の数によって、大人になってからの精巣の大きさや精子の数が決まるわけですが、この時期に、女性ホルモンの影響を受けると、セリトル細胞が十分に形成されず、生殖能力が下がる可能性があるわけです。
よって、少子化の原因は、「妊娠した乳牛から搾乳する女性ホルモンを含む現代の牛乳にある。」と、佐藤先生は述べています。

佐藤先生のＨＰには、いろんな角度から、牛乳不妊説が説明されていますので、興味のある人はこちらのＵＲＬを参考にして下さい。
http://www.eps1.comlink.ne.jp/~mayus/

庄田氏の赤フン姿を見て、女性が「セクシー！」とトキメクのであれば、世の男性諸氏もみんな赤フン姿で歩くべきではないかと小生は思います。精子の数が半分になっても、性交の回数を倍に増やせば、帳尻があって、少子化を防げるはずです。