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2010年09月27日

金武町の夜は更けて(Aki&buzzlightライブレポ)

ご無沙汰しております。
このような場末のブログでも毎日何人もの方にアクセスしていただいていますので、週に1件はエッセイを書きたいと思っておりますが、最後にアップしてから激務が続き、そのまま逃げるようにして沖縄に数日間滞在していたため、かなりのブランクとなってしまいました。すみません。本日帰りました。
今回の沖縄ネタもなるべく間をあけず書き綴りたいと思います。


相も変わらず、沖縄ではライブハウスと史跡と戦跡・基地と自然破壊の現場を回っています。
今回はキャンプハンセンのある基地の街、金武町社交街で印象深い一夜を過ごしました。ホテルがないことから飲むことができず、これまで夜の社交街に足を踏み入れたことがなかったのですが、東京で見て今年一番の衝撃を受けたRidiaさん(代表写真1)のライブに行くため、今回は隣町の宜野座市に宿をとり、タクシーで金武町に乗り込みました。

まだ明るいうちから、公園のベンチやテーブルで酒盛りの集団が数組。そばによると「お兄さん、一緒にどうね?」と誘われました。ディープな話が聴けそうで、かなり迷ったのですが、丁重にお断りしました。肝心のライブの前に酔いつぶれては困るのです。
そうこうすると、金曜の勤務を終えた米兵達が、概ね白人グループと概ね黒人グループに分かれて続々とやって来ます。おお、イエローモンキーの小生はどうしましょう。古めかしいネオンが灯り、ロック、ヒップホップ、ラテン音楽が店から溢れ出てくる異空間。いい雰囲気です。(写真2、3)

Rideaさんは、この街では「Akiちゃん」と呼ばれています。毎週金土曜日にライブハウスDreamで、Aki&Buzzlightというバンドを率いて歌っています。
7時頃から何回お店の前に来ても入り口は閉まったまま。前の晩にコザで行こうと思っていたお店がつぶれていたので、ここもつぶれたかと不安になり始めた夜9時過ぎに、ようやくお店が開きました。
ママさんに「東京で3曲だけ見て感動したので、Akiちゃんの歌をたっぷり聴きに来ました!」と言うと、「お客さんで二人目。この前細江さんって言う人が同じように来たよ。」との返答。 
しまった!先を越されたか。

お店の雰囲気もレトロです。東京にはこんな店はもうないです。一言でいうとベトナム戦争とオーバーラップする70年代前半のロックの臭いが立ち込めています。
金武町を舞台にした崔洋一監督の映画「Aサインデイズ」の世界そのものです。20年前のこの映画は、中川安奈主演でオキンワン・ロックの女王喜屋武マリーの生い立ちを描いた映画でしたが、昨晩小生がコザで行こうとしたのは、正にマリーさんのお店「Asian Rose」なのでした。70年代のマリーさんのことは小生全く分かりませんが、当時のマリーさんにとりつかれたかのように体をくねらせながら歌う中川安奈の「Susie Q」のカッコ良かったこと!そういえば、Susie QをリバイバルヒットさせたCCRもベトナム戦争に対する反戦ソングバンドでしたね。「雨を見たかい」は名曲です。

小生の隣にヒスパニック系の米兵がやってきました。おお、ますますいい感じ。小生彼にスペイン語と英語で話し掛けてみました。
Ben君。27歳、海兵隊ではなく海軍の整体士(physical serapist)、テキサス出身、ご両親はメキシコ出身、戦場経験なし、訓練の後ドイツに5年、沖縄に3年勤務、ボブ・マリーとエルビスプレスリーが好き(どういう組み合わせや!)、趣味はビリヤード。
「戦地へ赴いて無駄死にするなよ。」って言ったら「神のみぞ知る。(God knows!)」との返事。God knowsってそう使うのか。一つ英語の勉強をしました。
Ben君の方は3年も日本にいるのに、日本語を習ったのは2週間だけで日本人の友達もいないというので、紙にローマ字で書いて日本語を教えてあげました。飲み屋の女の子にはこう声をかけたらいいよ。「かわいいね。エッチしよう。俺の巨砲が相手をするぜ!」

さあ、Aki&buzzlightです。Akiちゃんを含めて5人編成のバンドで、リズム隊とギタリストは小生よりも明らかに年上で長年ロックをやってきたオーラを発しています。
ここではRedia曲は原則演奏されません。あくまで、Aki&buzzlightとして、70年代ロックを演奏するのです。それもまたよし!
小生は彼女の曲を聴きに来たのではなく、類まれな彼女のディープな歌を聴きに来たのです。

一曲目からガーンと来るかと思いきや、いきなりシャカタクで片すかし。Akiちゃんもエレピのプレーのみ。なんじゃこりゃ!
どうやら、セットの頭にはSE代わりに、インストを演奏するようです。
ビートルズ2曲でウォーミングアップ。そして、来た~!!ディープ・パープルの名作「マシン・ヘッド」から、怒涛の3曲。「ネバー・ビフォー」「メイビー・アイム・レオ」「ピクチャーズ・オブ・ホーム」。メイドイン・ジャパンの曲をあえて外すとは、通好みの選曲です。Akiちゃんの歌い方、明らかにイアン・ギランを彷彿とさせます。と言うか、ギランが憑依していると言ってもいいでしょう。
東京で観たときには、ブラックミュージックシンガーかと思っていましたが、元々はロックシンガーだったんですね。ロック自体ブルースに立脚しており、その後もファンクやレゲエなどのブラックな要素を取り込みながら進化してきたわけですが、彼女は7年間往年のロックを歌っているうちに、ブラックミュージックの感性をも自然に吸収して来たのだと思われます。

その後続々出てくるジミヘンも、オジー・オズボーンも、ディオも、ドン・ヘンリーも彼らが憑依しているように歌うAkiちゃん。多分彼らの一番カッコいい部分を無意識に自分のものにしているのでしょうね。ハスキーボイスだから、中音域でパワーを効かす渋めのボーカルが合います。もちろん高音のシャウトもグーです。やや消化不良だったのは、ロバート・プラントとフレディ・マーキュリーかなあ。彼らが超個性派でカバー自体が難しいのと、オーディエンスが期待するレベルも高いですからね。
3rd setでは、宇多田光や相川七瀬、キロロやエゴラッピン(先月見たぞ)の曲まで登場。ロックスピリット溢れるアレンジでカッコいいです。
いずれにしても、オジサンとしてはたまらない楽曲ばかりです。
バックミュージシャンも凄い。特にストラトを持ったギタリスト氏はリッチー・ブラックモアの化身です。音色は言うに及ばず、チョーキングの深さやトレモロアームの振動数がリッチーと全く同じで、ビックリしました。

小生、思い立ってリクエストしました。彼女の声に、歌い方に一番合うのは、ロックの女王ジャニス・ジョプリンの曲でしょう。「ムーブ・オーパー」をやっておくれ!彼女「これを歌うのは、久しぶり~」と言いながら、歌ってくれました。
恐ろしいほどカッコいい! This is the rock! (天国への階段の最後の歌詞や)
鳥肌。戦慄。血液逆流。アドレナリン放出。
残波黒をロックでおかわり。一気に飲み干す。もう一杯。
ママさんに思わず言いました。「Akiちゃんはこれが一番ツボでしょう。」
ママさん「よく分かってらっしゃる。」
分かるに決まってるでしょうが。もう一杯おかわり。

12時半過ぎに3rd setが終わった頃には、小生オーバードリンキングと興奮しすぎた反動でフラフラでした。「また、絶対来るね。」と言ってお店を出ようとすると、Akiちゃんがお見送りに来ました。「最後までありがとうございました。」 いやいや、ムリヤリいた訳じゃないんだよ。あんたの歌に聞き惚れて最後までいたんだよ。
「Rediaもいいけど、Akiちゃんもいいねえ。東京でこんな調子で歌ってたら、喜屋武マリーくらいには売れるよ。」
彼女、東京で会った時と同じように、首を振って照れ笑いを浮かべるのみです。
バカチン、キャンプハンセン前で何年歌ってんだ。
こういう時は「God knows!」ってニヤリと笑って睨み返すんだよ。

金武町の夜は更けて(Aki&buzzlightライブレポ)

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 バンド名の由来ですね。



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