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2010年08月04日

砂川恵理歌ライブレポ

7月31日、新宿エイサー祭り関連のイベントとして行われた「オリオンビアフェスト イン イセタン」に出向きました。9年目か10年目となるこのイベント、今年は下地勇、新良幸人withサンデー、かりゆし58、桑江知子、日出克、ういずあす、Hirara、照屋政雄等、錚々たるメンバーが6日間に渡って出演しました。

小生が最もよく行くライブハウスである新宿ピットインへと向かう新宿通りがエイサー祭りのため歩行者天国になりました。(写真2)イベントの会場は、新宿通りに面した伊勢丹百貨店の屋上です。向こうに新宿の高層ビル街がニョッキと見えなかなか壮観な景色です。(写真3)

この日は、階下の新宿通りで13時半から行われるエイサー祭りの前座として、楚辺青年団によるエイサーでイベントスタート。耳横50㎝で大太鼓を鳴らされ、鼓膜が破けそうになりながら、若者達の踊りと演奏とを鑑賞しました。
すると、隣に座っていたオタク風の兄さん、やおらデジカメを取り出し、踊っているかわいい女の子を至近距離からパチパチ撮り始めました。会場のあちこちに「撮影禁止」の貼り紙があり、司会者が「撮影、録音はご遠慮して下さいね。」と言っていたにも関わらずです。

楚辺青年団の出番が終わり、小生、40歳くらいと思える彼に声をかけてみました。小太り、眼鏡、Tシャツ、リュックサック、カメラと正にアキバ系オタクの定義そのもの風貌です。
「撮影禁止なのに、撮影とはやりますな。ブログ用ですか?」
オタク氏の返答。「そうですよ。注意されるまでは、撮ろうと思って。」
小生も当然カメラ持参ですが、撮影禁止と言われた時には、一応遵守します。
「それにしても、女の子ばかり撮るとは、ちょっと露骨じゃないですか。」
「それが、楽しいんじゃないですか。後から見るとワクワクしません?」
あちゃ~(* ̄□ ̄*; 完全にオタクです。

ステージでは、夜本番のイクマあきら氏のリハ開始。どこかで見た顔だと思ったら、20年ほど前にE-ZEE BANDやってた人じゃないの。いつの間にか沖縄のミュージシャンになったのね。でも、三線と「イーヤー サーサー」のお囃子が入っただけで、やってることは昔と同じでした。ロックスピリットはあります。
オタク氏「リハなら問題ないでしょう。」と言って、スタッフの目の前でパチリと撮影するもおとがめなし。そうか、リハならいいのか、と自己弁護して小生もパチリ。(写真4)同じくおとがめなし。

オタク氏「次の砂川恵理歌ちゃん、大好き。どう思う?」
小生「ごめんなさい。沖縄でもポップス系は聴かないんで。」
オタク氏「へ~、知らないの? 宮古出身で福祉介護士やってたガテン系アイドルじゃないですか。かわいいですよ。日テレのオーディション番組から出てきて、レーベルは吉本興業の子会社のヨシモトR&C。今も老人ホームとか回ってるんですよ。えらいでしょう。ふ~ん、知らないんだ。じゃあ、沖縄で誰が好きなの?」
小生「与那覇歩ですよ。本格派にして個性派。沖縄でも辺境の与那国出身で気骨があるところもいいですね。沖縄では一番好きですね。」
オタク氏「3Dじゃないの?」
小生「3Dって?」
オタク氏「『誰でも大好き、でも彼女が一番好き』の頭文字(だ、だ、で)をとって3D。知らないの?僕は、神谷千尋と大山百合香と石嶺聡子も好き。でも、恵理歌ちゃんが一番好き。」
小生「それって、3Dじゃん!」
かくして、砂川恵理歌さん登場。まだ本番前のサウンドチェックです。「本番ではないから撮影OK」という独自の拡大解釈に基づき撮影敢行。(写真1&5、6)

軽目に2曲歌って、いよいよ本番。
オリジナル曲数曲と泉谷しげるの「春夏秋冬」の後、沖縄民謡への流れ。
庶民的かわいさ、弾けるような笑顔、爆発的明るさ、丁寧でクリアな歌唱は、確かに万人に訴えるものがあります。
オタク氏「ね、いいでしょ?かわいいしょ?ね、ね。」
小生「確かに歌はうまい。気さくな人柄も好感が持てる。素晴らしい才能と個性。でも、何か違和感あるよな。ぐさりと刺されるような決め手がないのかなあ。」

そして、彼女のステージはクライマックスへ。末期ガン患者の青年の生への執念を歌った、09年沖縄トップセールス曲「一粒の種」。
さっきまでの元気と笑顔は影を潜め、シンミリした表情の恵理歌さん。「私は、この歌を大切に一生歌って行きたいと思います。」

小生「はは~ん。分かった。何に違和感を感じていたか。レーベルが本土大手って言ったよね。多分恵理歌さんのプロデュースにも関わってるよね。ヨシモトが作るバライティ番組のような饒舌とテンションの高さ。クオリティは高いけれど毒にも薬にもならないポップス。そしてドーンと落としてのお涙頂戴話。彼女の個性、介護士出身ということも全てをひっくるめて、すごく巧妙なプロデュース戦略が敷かれている気がする。コンセプトと展開が、ほら24時間テレビのような感じでしょう。もちろん、小生だって、ガンの青年の悲しみとか無念さを理解します。でも、ガンで亡くなる人は年間数十万人もいます。その何割かは若い人でしょう。みんな苦しみや絶望や逆に一縷の望みを胸に抱いている。なのに、その人だけに光をあてて、去年売れたからって、今年もセルフカバーでCD出しちゃうの?鎮魂歌なら1回でいいよ。2回やったら商業主義のにおいがしちゃう。沖縄には、あるいは、世界には、彼と同じような、あるいは別の種類の無念さが渦巻いています。沖縄戦で銃に撃たれて死んだ人たちの無念さも思うべし。ガマで集団自決した家族の無念さも思うべし。戦争マラリアで高熱で苦しんで死んだ小学生の無念も思うべし。現代で言うよ。アメリカンビレッジの駐車場で米兵に強姦されて殺された少女の無念さも思うべし。沖縄の基地から飛び立った爆撃機によって殺されたベトナムやイラクの人々の無念さも思うべし。文化大革命やカンボジア(写真7=小生撮影)で大量虐殺された人々の無念さも思うべし。パレスチナやチェチェンやアフガンで戦車にひき殺された青年の無念さも思うべし。アフリカや北朝鮮で食べ物がなく餓死した人々の無念さも思うべし。日本に戻るよ。本来愛してもらわなきゃならない親の暴力で虐待死した子供の無念さも思うべし。病院に行くこともできずひっそりと孤独死したご老人の無念さも思うべし。仕事がなく公園で横になることも許されず夏は熱中死、冬は凍死するホームレスの無念さも思うべし。年間3万人にも及ぶ自殺者の無念さも思うべし。恵理歌さんはいい人で一生懸命老人ホームも回っているけれど、彼女の歌を聴く人は、「一粒の種」の彼以外にも、大きな苦しみや無念さを抱えて死んだ人達が沢山いるということにも思いを馳せて欲しいです。」

オタク氏「何ブツブツ言ってんの。かわいいものかわいいし、うまいものはうまい、いいものはいい。それだけだよ。そんな屁理屈ばっかり言ってるヤツは、はっきり言って『オタク』だよ!このオタク!」

え~!小生がオタクってか!!
そういわれてみると、小太り、眼鏡、Tシャツ、リュックサック、カメラと、オタク氏と同じ格好をしている自分に気がつきました。
オタク氏に「オタク!」と罵倒され、茫然自失で会場を後にした小生、ふらふらと新宿エイサー祭りを見て回って、電車の中でデジカメの写真を見てもう一度ショックを受けました。オタク氏が、前座エイサーでしていたように、女の子を中心に撮影していたのでした。(写真8、9)

砂川恵理歌ライブレポ

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